【42】 誰と歩こう 春の宵 「京都 花灯路」2003     (2003.3.14)
京都 花灯路 パンフレット

 東山に夜の帳(とばり)が下りる頃、清水寺から高台寺・八坂神社・円山公園・知恩院そして青蓮院に至るおよそ2qの散策路に、2000余の明かりが灯る。桜の季節を控え、冬冷えにしばし人枯れする京都の街に観光客を呼ぼうと、今年から企画された「新京都風物詩」である。
 道端に和花の一輪挿しと路地行灯が点々と続く。行灯は、北山杉・清水焼・京銘竹であつらえられていて、ほのかな明かりが道行く人の足元を照らし出す。周囲の店も夜間営業を続け、軒先に提灯を吊るして明かりを灯す。期間中、各社寺はライトアップし、清水寺・高台寺・圓徳院は夜間拝観を行っている。
 高台寺の駐車場へ車を停めて、夜間拝観の寺内へ入ってみた。路順に沿って、行灯の明かりが続く。お堂や木々がライトアップされて、暮れなずむ東山を背高台寺の夜間拝観景に、幻想的な姿を浮かべていた。
 高台寺は、別名「ねねの寺」とも称され、豊臣秀吉の没後、その菩提を弔うため北政所ねね(出家して高台院湖月尼)が開創した寺である。中門を入って右側に臥龍池が広がる。風もない今宵は、鏡のように静かなその水面に、秀吉とねねのお霊を祀る霊屋(おたまや)と周りの木々が見事に映り、吸い込まれるような光景であった。

ゆば料理の羽柴
 高台寺を出て、急な石段を下り、ふもとの旧高台寺道(清水から丸山へ通じる小路)沿いにある「羽柴」へ寄ってみた。羽柴はゆば料理一筋、女将は「自信持ってます」と胸を張る。大豆のふくよかな味わいとはんなりしたかおりを漂わせるゆば料理は、良質の蛋白質やビタミン類を豊富に含むヘルシーメニューだ。
 羽柴自慢の二本立ては、生ゆばを豆乳につけて青物を添えて煮立てるゆば鍋と、生ゆばをあんかけ風にご飯にかけたゆばご飯。それに、ゴマ豆腐の先付け、煮物・焼き物・田楽などの詰められた大鉢、季節の和え物の小鉢、肉饅頭の御浸し、汁椀と並べての「ゆば鍋御膳」は、湯葉を食べた〜っと、大満足できる逸品である。


 円山公園へ下る道を、人ごみに混じって歩く。昼間の気温も高かった今宵は、風もなくて暖かく、たいへんな人出である。八坂さんからあとは、知恩院への道を上るか、それとも祇園へ…。





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